木造軸組み工法とはどんな工法? 2×4(ツーバイフォー)との違いは?
日本の戸建て住宅の多くは在来工法とも呼ばれる木造軸組み工法で建築されています。昔から人々に親しまれてきたこの工法が、現代になってもなお人気がある理由はどこにあるのでしょうか?2×4(ツーバイフォー)や木質パネル工法と比較した時のメリットやデメリット、耐震性などを確認しながら、木造軸組み工法について確認していきましょう。
Contents
木造住宅の工法の種類と名称の違い
木造住宅の工法には主に、木造軸組み工法・伝統構法・2×4(ツーバイフォー)・パネル工法・金物構法の5つが挙げられます。それぞれの工法の違いを見て行きましょう。
木造軸組み工法
コンクリートの基礎の上に載せた土台に柱を立て、梁を渡して構造部を造ります。木造軸組み工法の良さは、木の良さが活きる住宅であることと、間取りの自由度とそれに伴う可変性に優れていること、そして建築費が抑えられることです。
伝統構法
木造軸組み工法の基となった昔ながらの工法です。同じ木造軸組みではありますが、伝統構法は免震という方法で地震に備えます。日本の伝統美と木や和紙などの自然素材が活きる住宅ですが、建築費は嵩みます。
2×4(ツーバイフォー)工法
木造枠組壁工法と聞くと馴染みが薄いかもしれませんが、2×4(ツーバイフォー)は木造のパネルを組みたてて家を建てる工法です。間取りの自由度や可変性は低いのですが、耐震性と防火性が高いことが特徴です。ハウスメーカーの住宅の多くは2×4(ツーバイフォー)工法、またはパネル工法です。
パネル工法
木造枠組壁工法の一種です。2×4(ツーバイフォー)工法では現場で壁を作りますが、パネル工法は、工場で作るため、接続に使う金物の種類や壁の施工方法が異なります。
金物構法
木材で鉄骨造住宅のようなラーメン構造を組みたてる工法です。木造住宅の中で最も間取りの自由度と可変性が高く、必ず構造計算を基に設計される住宅ですが、建築費が嵩みます。
木造住宅の工法の種類による耐震・免震の違い
それぞれの工法には異なった地震への備えがされています。
木造軸組み工法 耐震
柱と梁で骨組みを作り、筋交いの入った耐力壁で、地震や強風による揺れへの耐性を備える工法です。筋交いの入った耐力壁で地震の横揺れを受けとめます。さらに、耐震構造に加えて免震や制震装置を付け加えられます。
2×4(ツーバイフォー)工法・パネル工法 耐震
パネルで地震の横揺れを受けとめます。木造軸組み工法より高い耐震性があります。
伝統構法 免震
現代の住宅の中には耐震性を備えた上で免震装置をつけている住宅もあるので、免震という言葉には聞き覚えがあるのではないでしょうか?伝統構法は、伝統構法は地面の上に直接石を置き、その上に柱を立てて揺れを分散したり、地震による引き抜きを防いだりして地震の揺れを受け流したりする免震で地震に備えます。
金物構法 耐震
他の耐震木造住宅との違いは、柱の引き抜きを防ぐ為、連結部分に特殊な金物を使い、基礎と柱が直接連結させていることです。阪神大震災をきっかけに開発された比較的新しい工法です。その為、阪神大震災以降に発生した大地震において、倒壊した金物構法の住宅はありません。
木造軸組み工法の耐震性について
ここまで比較してきて、木造軸組み工法は他の工法より地震に弱いのでは…?と感じられた方も多いと思いますが、決してそうではありません。確かに大地震後には、倒壊した木造住宅の映像がニュース画面に繰り返し流されます。その結果、家づくりの際には、木造住宅でいいのか?RC造にするべきなのでは?と悩まれる方もいらっしゃると思います。
ただ、過去の大地震で倒壊した木造軸組み工法の家のほとんどは、旧耐震基準の家であったこと、シロアリ被害や経年劣化によって、耐震性が低下していた住宅であることが、調査の結果で明らかになっています。
参考資料 国土交通省 「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント
また、2×4(ツーバイフォー)とパネル工法の場合、建材は国際規格のパネルが、金物構法では専用の工場で構造計算に基づいて製作された建材が使われます。一方、木造軸組み工法にはそのような基準がありません。したがって、設計者と大工の技術と知識、経験によって、完成した家の質が大きく変わります。建築基準法をギリギリクリアしているという耐震性の住宅から、どんなに大きな地震が発生したとしても100年以上安全に暮らせる住宅まであるという状態が現状です。
その為、木造軸組み工法の住宅を建築する場合には、内部結露を起こさない断熱性とそれに伴う換気計画も、実は耐震性に大きな影響を与えています。木造軸組み工法での家づくりを計画する際には、断熱性や気密性と耐震の関係についても、施工を依頼する会社に十分な説明を受けることが大切です。
木造住宅の工法の種類による間取りの自由度の違い
間取りの自由度の高さはライフスタイルの変化に応じやすいということにも繋がり、いつまでも快適な暮らしを維持できる家の大切な要素です。
木造軸組み工法
RC造や金物工法に比べると、家の中に耐力壁を設けなくてはならない為、間取りに制限が出るケースもあります。しかし、耐力壁を外壁に用いるなど、設計次第で間取りの制限は抑えられます。
この間取りの自由度は、新築時だけに限ったことではありません。長く暮らすうちには家族のライフスタイルが変化していくからです。家を新築するタイミングは、子育てに備えてというご家族が多いと思います。その為、子育てしやすい間取りを念頭に、間取りプランを進めることが多いのではないでしょうか?ただ、住宅が完成し、暮らし始めてみると子どもの成長や第二子の誕生によって、暮らしやすい間取りは変化し続けます。
木造軸組み工法の家は、その度に大掛かりな工事をしなくても、その時々のライフスタイルに応じた間取りに変化させていけます。木造軸組み工法は新築時の間取りプランの際にも、ライフステージが変わりリフォームを計画する際にも、融通性の高い工法です。
2×4(ツーバイフォー)工法・パネル工法
面で地震の揺れに備える工法なので、家の中の壁の位置は自由に動かせません。その為、新築時にも、リフォーム時にも間取りの変更に制限がかかります。住宅のリフォームには、骨組みだけを残して外壁、内部の壁、階段などを全て取り壊すという大掛かりなフルリフォームやフルリノベーションと呼ばれるリフォームがあります。このリフォームは土台の形状を現状より大きくしない限り、新築より費用置抑えて新築住宅のようにできます。二世帯住宅にする、子どもが独立していったので夫婦が暮らしやすい間取りに変更するというようなケースでは人気の高いリフォームです。
木造軸組み工法はこのようなリフォームにも対応できますが、2×4(ツーバイフォー)工法・パネル工法はできないことがほとんどです。
金物構法
木造住宅の中で、最も間取りの自由度が高い構法です。天井までの大開口や大胆な吹き抜け、狭小住宅であっても壁面いっぱいの間口を持つビルトインガレージが実現できます。ただ、比較的新しい構法なので、金物構法専用に作成される構造用集成材に接着剤が使われていることに対する安全性などに関して、100年単位での実証はされてはいません。
■ 住宅の暮らしやすさを作る要素には、数多くの項目がありますが、その中に、快適な室温と湿度を維持できる室内環境、家族の愛情を育む帰宅動線、家事負担を減らす家事動線、意識しなくても常に室内をすっきりさせる収納があります。暮らしやすさは、家族構成や暮らし方によって、家族ごとに異なりますが、この3つの要素は、すべての家族に必要な要素です。それぞれについて考えてみましょう。
木造住宅の工法の種類による費用の違い
施工する建築会社や住宅のグレードにもよりますが、同程度の住宅性能と規模の住宅を比べた場合、最も費用が嵩む構法は伝統構法、次が金物構法です。どちらも使用する建材が高額であるからです。
その次が木造軸組み工法です。木造軸組み工法は国内で最も多く建てられている工法なので、建材が豊富に流通していて、建材の種類やグレードも選びやすい状態です。これは、注文住宅の建築費の幅が他の工法より大きい理由の一つでもあります。住宅性能だけではなく、建材の選択によって建築費が大きく変わります。
2×4(ツーバイフォー)工法・パネル工法は、どちらもハウスメーカーが多く採用している工法です。建材の流通量が豊富なので建築費は抑えられます。ただし、大手ハウスメーカーの場合、テレビコマーシャルやモデルハウスに莫大な費用をかけているため、建築費にはそれらの費用も含まれています。したがって、もし同程度の住宅性能とサイズの家を比較した場合には、木造軸組み工法の方が建築費が抑えられる場合もあります。
木の良さが活きる木造住宅は、日本の風土気候にあった暮らしやすい家です。その中でも、無垢材を多く使う木造軸組み工法は、より木の創り出す心地良い家を実現します。木造軸組み工法にこだわった家づくりを計画しませんか?
■ 理想の家を完成させることと、新居で暮らし始めてからのゆとりある生活を、同時に実現するためには、家づくりにかけられる予算を、明確に割り出すことが大切です。
ライズクリエーションの家づくりへの想い
一生に一度だからこそプロの提案をしたい。
その為に私たちは営業・設計士など関わる人全員一丸となって家づくりに臨んでいます。プロの設計士、建築家がじっくりヒアリングをし、営業がお客様のサポートをいたします。
特に提案力には自信を持っており、多くのお客様から他社には無かった予想の上を行く提案が決め手とご好評いただいています。どんなに細かいご要望や不安もお気軽にお話しください。